竹中 平蔵氏の講演「日本の新リーダー、かくあるべき」を直接聞く機会を得た。
政治の世界に小泉元首相首相のようなリーダーがもう一度出て来て欲しいと痛切に願う。
リーダーは正しいと信ずることを貫き通す者で無ければならない。
リーダーは物事の枝葉に惑わされず、幹の部分をしっかりと押さえる必要がある。
そんなことを学ばせてもらった。
世界一のメガリージョンでビジネスが出来る幸運を活かし、少しでも世のため人のためになる実績を挙げたい。
以下は、講演のメモ。
---------------------------------------------------------------------------------
私は学者。リーダーではない。
内閣でも補佐役、参謀だった。
今日は参謀から見たリーダー論について話したい。
最近小沢さんと菅さんの選挙があった。
リーダーを選ぶ選挙だった。
意外に思われるかもしれないが、私の周辺の経済界では小沢総理待望論があった。
局面によって必要なリーダーは異なる。
たとえば経済学で言えば、大恐慌のときはケインズが必要だ。
だが平時もそれを言っていると亀井静香さんのようになってしまう。
国際的に「リーダーシップ論」がいま一番人気がある。
まさにリーダーが必要な時代。
そこで「いま一体なにが変わったのか。」(本質的な部分で)を考えて見たい。
- よく言われるグローバリゼイション
毎年ブラジルに行っている。
デジタルテレビの規格では日本が勝った。
ルーラ大統領が「日系人を尊敬している」と言ってくれた。
いまや日系人は150万人。
日系人はブラジルで農業を変えた。
米が主食になった。
かつてはマーケットに存在しなかったりんごも流通するようになった。(「フジ」と呼ばれているらしい)
日本に帰ってきて、ブラジル銀行に電話をしたら、、、
サンパウロに電話がつながった。
東西冷戦時代、27億人が市場経済に住んでいるといわれていた。
それが今は約60億人。
マーケットの規模がわずか20年くらいで2倍になっているということ。
また、ライバルも2倍になった。ということ。
2.技術体系の根本的な大革命「デジタル革命」
慶応大学の村井 純教授が日本にインターネットを持ち込んだ。
日本人の給与はインドとブラジルの給与に収れんせざるを得ない。
つまり「フラット化する社会。」である。
それは、限界費用がゼロになる世界。
発展途上国にとっては間違いなく厳しい時代になる。
トロント大学リチャード フロリダ教授が夜の地球をとってみた。
地球上には光の塊が20から30ある。それらを「メガリージョン」と名付けた。
全世界の人口の約半分がメガリージョンで生活している。
メガリージョンでは2/3の生産が行われ、80%の改革がなされている。
そこは、スパイキー(でこぼこ)な世界である。
クリエイティブクラスがここにいる。
私たち日本人は、フラット化する社会に行きたいのか、それともスパイキーな世界に挑むのか。
後者なら未来は明るくなる。
リチャード フロリダ教授は光の量からGDPを計測しようとしてみた。
1番大きいのが圧倒的に東京圏
2番目がボストン、ニューヨーク周辺
この二つの地域のGDPを合わせるとドイツ一国のGDPを超える。
民主党の政策は「フラット化」である。
「困っているから助けてやろう」というリーダーを選ぶと日本全体が沈んでしまう。
小泉元首相のエピソード
私は学者。職業政治家になりたいと思ったことは一度もなかった。
小泉さんの前の内閣の時にも誘われたが、断った経緯がある。
だが、小泉さんから頼まれたとき、「この人は本物のリーダーだ」と思った。
この人と一緒に改革をするならやってみたいと思った。
2003年6月のある日のこと
赤坂プリンスホテル「李鵬」という中華料理で昼食の約束があった。
だが、小泉元首相と竹中氏は厨房の奥から2人で10Fへ篭脱けした。
そこには、
福井日銀総裁
日本郵政公社の生田総裁
らが来ていた。
昼食会でいきなり生田総裁に「あなたは最初で最後の公社総裁だ」と小泉さんが言った。
つまり郵政民営化が2007年までと決まった瞬間である。
びっくりして「ホントにやるんだ」と思った。
リーダーのパッションを痛烈に感じた。
だが、週末頭を抱えることになる。
郵便局の労働組合は日本で最もミリタントと言われていた。
他にも課題は山積だ。
タイミングとしては、不良債権処理に目途をつけた直後。
2007年までに郵政民営化を実現するためには、2005年に法律を通さねばならないということ。
小泉さんは、そのようなことを踏まえ、このタイミングで今後の道筋を示した。
戦略は細部に宿る。
経営とは当たり前の手続きの地道な積み重ねである。
竹中氏は、マクドナルドやトイザらスを日本に持ち込んだ藤田 田氏にたいへんかわいがってもらった。
「竹中さん、経営とはホームランねろうたらあかんのや、必ず1塁にでることや。」
「デットボールでもなんでも一塁に出ることが大切や」
一塁に出ることを考え、小さな成功を積み重ねれば、いずれ得点へとつながってゆく。
そのようなことを良く教わった。
考えて見れば、日本の政治は「戦略は細部に宿る」ということでことごとく失敗している。
オーソリティ(当局、権威)という言葉はオーサー(ものを書く人)からきている。
つまり、法律を書く人に権威がある。
官僚が牛耳っている社会。政治家がどうあがいても物事がうまく進まない。
たとえば、
民営化には3通りある。
- 特別法によるもの。NTT など。
- その他の法律に基づく会社形態
- 完全民営化
あるとき役人は「完全民営化」という部分を「完全に民営化する」と書いて出してきた。
「完全民営化」と、「完全に民営化」ということは意味が違う。
(前者は3番に該当するが、後者は1から3までのどれかという意味になる)
そのときは、気が付いて、差し替えさせることができた。
官僚はこのようなことに長けた人種だ。
リーダーは、押さえるべきポイントは完全に押さえなければいけない。
インドのリライランス財閥のアドバイザーをしている。
筆頭株主はインド一の富豪。ムケシュ・アンバニ。
いま、ムケシュ・アンバニは、ムンバイに30階建ての自宅を立てている。
彼は1年に1回世界から5人の賢人を集め、一日中議論する。
それは肝心なことを自分で決めるためである。
日本のリーダには、こういうタイプがほとんどいない。
ハイフェッツ教授による「バルコニーに駆け上がれ」という言葉がある。
ダンスホールで演奏や照明がうまくいっていると感いじられたとしても、バルコニーから見てみよということ。
俯瞰してみてみよという意味である。
そして、フロアに戻りバンド(演奏)の調整をせよ。
俯瞰してみることがリスクを調整する方法。
ビジネスは必ずリスクが付き物。
それを管理できるかどうかがリーダーとして重要な資質。
また、「背後に流れる歌を聴け」という言葉もある。
常に、交渉相手の背後にあるものは何かを考えよ。ということだ。
梅原猛先生が「将たるゆえん」という本を書いている。
聖徳太子から数名のリーダーのエピソードだが、
そこには3つの共通点がある。
- 自分の頭で世界を描く(将来を洞察する)
- 自分の言葉で自分が考えていることを説明する能力があること(アカウンタビリティ)
- 組織を動かせる知恵を持っている
1. 自分の頭で世界を描く
日本政策銀行時代、金沢で企業の審査をしたことがあった。
とあるあまり大きくない会社の経営者が、アメリカ経済、韓国の動き(中略)、だから今こうして設備投資が必要だと滔々と述べた。
そのとき、この人こそ本物のリーダーだと思った。
2. 自分の言葉で自分が考えていることを説明する能力があること
ひとは本当に理解していないことは説明できない。
小泉さんは、聞いてるとき何も反応しない。寝てるみたいに見える。
そんなとき、この人は「枝を全部切り落として、幹の部分を探しているのだな。」と感じた。
枝は部下に任せる。
3. 組織を働かせる知恵を持っている
下の人は実に良くリーダーをよく見ている。(たいていのリーダーはそのことに気がつかない)
これまでの観点で政治のリーダーシップについてコメントしたい。
菅さんは魅力的だが、多くの課題を抱えている。
しかし、ツイていると言えるかもしれない。
小沢さんがいたから、総理になれた。ある種のアンチテーゼ。
規制緩和の議論がいま面白い。
菅さんが急に「規制緩和」を言い出した。あれほど批判していたのに。
リーダーはリアリスティックである必要がある。
鳩山さんのいう「友愛」にはリアリズムがない。
最近「TTP」(環太平洋の自由貿易)の話題が急に出てきた。
TTPの敵は民主党のマニフェストと正反対の考え方。
TTPの理念は自由、オープン、競争
郵政に関する、亀井さんの法案が実現すると間違いなくWTO違反になる。
内国民待遇違反。
この様な問題を解決するのがリーダーの仕事。
TTPは間違いなく国益になる。
農業は自由化すれば強くなる。競争すれば強くなる。
田村 耕太郎議員がドバイになしを持って行ったら、1個3500円で売れた。
次に、スイカを持っていったら1個3万円で売れた。
日本の農業は競争により、もっと良くなることが出来る。
小泉さんに何かを相談すると、毎回同じことを言ってくれた。
「王道の政策をやってくれ」
「どんなに批判されても構わない。」
「何も変えるな、当初の構想通りやれ。それが一番いいと思ったのだろ?」
優秀なリーダーとは
国民の声だけを聴いていたら、絶対に良いリーダーになれない。
「自分はこうしたい」と言うのがリーダー。
そういう意味からすると、いまの政治はリーダシップがない。
世の中にはみんなで決めたほうが良いことと、一人で決めたほうが良いことがある。